パリと美味しいごはんと「ちょっと懐かしい気持ち」が好きな人にはぜひ読んで欲しい本です。
パリでの生活を綴ったエッセイなのに、子供の頃に家族と過ごした食事の時間を思い出すような…
何度でも味わいたい類の懐かしさが行間にただよっている感じです。
何度読んでも独特の空気がこの本には流れていて、私はその空気がとても好きです。
目次
インテリアのようなおしゃれな装丁
文庫はシックな印象。ブラウンをベースに、白のパンジーのテキスタイルが描かれています。
単行本はレトロポップな手書きイラスト風のデザインです。
どちらも胸がときめくほど、素敵。
私が持っているのは文庫ですが、単行本もとってもおしゃれです。
バターたっぷりのオムレツを食べたくなる
オムライスはたまに作りますが、オムレツって自分ではほとんど作りません。
…すみません見栄はりました。三十ウン年、一度も作ったことがないです。笑
この本の最初の章「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」では、およそ6ページにわたってオムレツについて語られます。
その描写がなんとも美味しそうで、猛烈に食べたくなる…!!バターたっぷりの、古きフランス流のオムレツ。
想像の中で作ったオムレツはつるんと黄色くてきれいなのですが、きっと現実はそうはいかないでしょうね。笑
紅茶を丁寧に淹れて飲みたくなる
「紅茶のみのみお菓子をたべて」という章では、著者の「紅茶」への熱い思いが綴られています。
面倒臭がりの私は普段、当たり前のようにティーバッグ愛用派。
ですがそのティーバッグは著者の石井さんに言わせると、
アメリカではティーバッグという小さい紙袋入りの紅茶を、厚手の口触りの悪い紅茶茶碗になげこんで出すという、日本に輪をかけた無神経ぶりで話にならない
だそうです。耳が痛い。笑
その後、イギリス紅茶の美味しさや美味しい紅茶の淹れ方が語られます。
誰にでも、「なんかこの話になるとつい熱くなっちゃう」という話題が、
石井さんにとっての食べ物や飲み物だったのかな…と微笑ましく読めるエピソードです。
たまにはゆったりと、熱い紅茶をティコゼでも使って淹れてみたいなぁという気持ちにさせられます。
ティコゼは持っていませんが…笑
日常からちょっと離れたい時に読みたい本
私にとって「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」は、古きよきパリにちょっとタイムスリップできるような、そんな非日常へ連れて行ってくれる本です。
それなのに、どこか懐かしい。そんな気持ちをたっぷり味わわせてくれるのはこの本だけなんです。
この本を静かな場所で、好きな場所を少しずつ、ゆっくりと読む時間は至福です。
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